京都市の賃料は大阪市や神戸市より安いか? (2018年12月29日の賃貸データ)

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京都市の賃貸物件の平均賃料は関西の他の大都市である大阪市や神戸市と比較すると、一番安いと言われてきました。
しかし、昨今の京都市内のホテル建築ラッシュによりマンション用地の確保が難しくなり、地価の高騰を招いています。地価の高騰が即座に賃料トレンドに反映はされないと考えていますが、新築マンションの価格は確実に高騰してきており、大阪や神戸と比較してもその上昇率は高くなっています。

では、実際に賃料はどの程度差があるのでしょうか?12月29日時点の京都市の賃料を大阪市と神戸市と比較してみたいと思います。


京都市


まずは京都市です。

ワンルームで6.9万円、2LDKで8.1万円、3LDKで11.1万円となっています。
過去の記事でも書きましたが、京都はワンルーム物件数が少ないのが特徴です。


次に京都市の各区の3LDKの賃料グラフを見てみます。

中京区が最も賃料が高く20.8万円、伏見区が8.4万円と最も安いことが分かります。
その二つの区の賃料の比は約2.5倍です。


では次に京都市で最も賃料の高い中京区の間取り毎の賃料を見てみます。

今回の調査では3LDKが20.8万円と20万円を超えており、先週は18.2万円だったため2万円のUPです。これがバラつきの範囲なのか、上昇トレンドにあるのかは、もうしばらく様子を見る必要がありそうです。2LDKも13.5万円と高騰しています。


大阪市

次に大阪市の賃料を見てみます。

ワンルームで3.6万円、2LDKで7.2万円、3LDKで8.7万円となっています。
高額物件もありそうですが、安い物件も多く、平均値で見ると京都市よりも低い結果となっています。


次に大阪市各区の3LDKの賃料を抜粋したグラフです。

最も安いのは平野区の6.4万円、最も高いのは天王寺区の12.8万円でした。その2つの区の比は2倍です。
京都市は2.5倍だったので、大阪よりも京都の方が賃料格差は高い結果となっています。京都市中心部の地価高騰が著しいため格差が広がっているのでしょうか。


次に大阪市で賃料の高い天王寺区の間取り毎の賃料を見てみます。


同様に賃料の高い北区の賃料です。

3LDKは天王寺区の方が賃料は高いですが、それ以外の間取りは全て北区の方が高くなっています。
3LDKの賃料は13万円弱なので、こちらも京都市よりは低い傾向が出ています。


神戸市

次にもうひとつの関西の大都市である神戸市を見ていきます。


ワンルームで5.1万円、2LDKで9.1万円、3LDKで10.2万円となっており、京都市よりも低い結果となっています。
このように賃料の平均値で見ると京都市が最も高く、次に神戸市、最も安いのは大阪市となりました。


また、神戸市各区の3LDKの賃料グラフを同様に見てみます。

北区が7.2万円、中央区が15.7万円とその比は約2.2倍です。
大阪が2倍、京都が2.5倍ですからその中間です。


次に神戸市で最も賃料の高い中央区の間取り毎の賃料を見てみます。

2LDKが12.9万円、3LDKが15.7万円と相場は高めですが、京都市中京区よりは低くなっています。


最後に三都市のデータをまとめたものが以下のグラフです。

このグラフを見ると、当初の仮説である「京都市の賃貸物件の平均賃料は関西の他の大都市である大阪市と神戸市と比較すると、一番安い」は今回のデータからは誤りと言えそうです。むしろ京都市の賃料は最も高くなっています。

また、各市の賃料の最も高いエリアをそれぞれ抜き出して表示したものが以下になります。
京都市中京区、神戸市中央区、大阪市天王寺区、大阪市北区のデータになります。

このデータを見ても、京都市中央部の賃料は神戸や大阪と比較しても高いと言えるでしょう。

京都はそのブランドと景観条例の影響で土地不足となり、地価が高騰し、それが賃料を押し上げる圧力になっているのは確かなようです。
ただし、ここでひとつ疑問が沸きます。土地不足かつタワーマンションなども建築できませんので、おのずと京都の物件の専有面積は狭くなりがちです。大阪や神戸は100m2を超える物件や賃料50万円を超える物件も存在しますが、京都ではそのような物件は稀です。専有面積が狭いということは賃料も高くは設定できないはずです。
にも関らず京都市の賃料が高いというのはどういうことでしょうか?
今回のデータは賃料の平均値もとに議論していますが、その分布はどうなっているのでしょうか?

早速、データを見てみましょう。
以下は京都市中京区の物件の平均賃料の分布をヒストグラムにしたものです。

次に大阪市天王寺区の平均賃料のヒストグラムです。

最後に神戸市中央区の平均賃料のヒストグラムです。


賃料の最大値(max)と最小値(min)の差が大きいのは大阪市天王寺区や神戸市中央区のようです。しかし、バラつきを示すSigmaは京都市中京区が6.6と最も多く裾野が広い分布となっており、30万円台や40万円台の物件がちらほら存在していることが分かります。10万円台の物件もたくさんあります。全体的に地価が高騰し、これら物件が平均賃料を押し上げているのでしょう。

ちなみに神戸市も背後に六甲山が迫っており、三ノ宮など中心部となる地域は土地が不足している傾向はあります。しかし、この地域はタワーマンションも多く、また、ポートアイランドや六甲アイランドなど海上を埋め立てることで物件の床面積を確保しており、専有面積が比較的広い物件も多く、急激な地価上昇は招いていないようです。

一方で、1LDKやワンルームなどタワーマンションや埋め立て地の恩恵に預からない物件に関しては土地の少ない神戸市中心部では賃料が不利な方向に働きそうです。
この件については後日、別のデータで考察してみます。