京都市営地下鉄 乗降客数の推移

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鴨川の虹

京都市営地下鉄は、京都市交通局が運営する地下鉄であり、烏丸線・東西線の2つの路線があります。

京都市外との連絡は主に「JR」「阪急」「京阪」「近鉄」を使うことが多いですが、京都駅を起点に京都市内の短い距離を移動する公共交通手段としては この「市営地下鉄」か「バス」がメインの移動手段になります。いわば市民の足です。

今回は京都市営地下鉄の乗降客数の推移をグラフで見ていきたいと思います。どの町のどの駅の乗降客が多いのか確認していきます。

グラフの元になったデータは京都市オープンデータポータルサイトのデータになります。

※コロナ禍の影響を受けた2020年度版を更新しました。

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京都市営地下鉄 烏丸線の乗降客数推移

まずは烏丸線から紹介していきます。 烏丸線は市の南北を縦断する地下鉄で北の終点「国際会館」と南の終点「竹田」を含め15の駅が存在します。

烏丸線は1981年に北大路駅 – 京都駅間が開業しました。その後、1988年に京都駅の南に延伸し竹田駅まで開通し、1990年に北山駅 – 北大路駅間、1997年に北山駅 – 国際会館駅が開通しました。

それでは、ここ数年の烏丸線の年度ごとの乗降客数の推移を見ていきます。

横軸は営業年度であり2010年から2020年までのデータをプロットしています。縦軸の左の軸は1日の平均乗降客数であり、右の軸は前年度比を%で表したものです。

乗降客数は2010年度に42万人だったものが毎年増加を続け、2017年度は50万人を超えています。前年度比の増加率は1.5%~3.5%の範囲で毎年着実にプラス成長を続けています。2013年度に3.5%の伸び率を記録しますが、近年は増加率が緩やかになってきており成長の鈍化が見られます。

それまで順調に乗降客数を伸ばしていましたが、ついに2020年度にコロナ禍の影響を受けます。2019年度に51万人だったものが33万人と18万人もの減少を記録します。割合で言うと前年比-35%となり、前年の利用客の3分の2に減っていることになります。
2020年度は複数の緊急事態宣言による移動制限により国内外からの観光客利用が激減し、更にリモートワーク等も増えた時期でもあったため、これだけの大幅な減少となりました。

市営地下鉄 烏丸線の駅別平均乗降客数の推移

次に、市営地下鉄の烏丸線の各駅の乗降客をプロットしたグラフを見てみます。

北の終点「国際会館」と南の終点「竹田」を含め烏丸線には15の駅があり、いずれも乗降客数は増加傾向にあります。
2020年度の烏丸線の乗降客ランキングは1位が「京都」、2位が「四条」、3位が「烏丸御池」、4位が「北大路」、5位が「丸太町」、6位が「国際会館」、7位が「今出川」となっています。それでは順に各駅の特徴を見ていきます。

1. 京都 (コロナ前:130,000人/日, コロナ後:74,000人/日)

市営地下鉄の「京都」駅は乗降客数が1日13万人を超える駅でしたが、コロナ後は7万人の利用客となっておりその数を大きく減らしています。
地下鉄京都駅はJR線、近鉄線、新幹線への乗り換え駅でもあります。
いわば京都の玄関口であり、京都から大阪や滋賀に移動する人々や、市外・府外からの移動してくる人々の乗り換えの起点になっており、朝夕は多くの通勤・通学客、昼間は買い物客や観光客が利用しています。
駅北側の伊勢丹やポルタ、ビックカメラ、ヨドバシカメラ、また、南側のイオンなどの商業施設の他、観光客層、ビジネス層向けのホテルが駅周辺には数多く立ち並んでいます。

2. 四条 (コロナ前:103,000人/日, コロナ後:65,000人/日)

次に乗降客が多いのは阪急との乗り換え駅であり、繁華街である四条通に通じる四条駅です。京都から阪急線を使って梅田や神戸に向かう場合はここ四条駅から阪急烏丸駅に乗り換えます。京都から梅田や神戸三宮まではJRよりも阪急の方が運賃が安いためこちらを利用する人も多いようです。

一方、JR京都駅に降り立った観光客の多くは京都駅から地下鉄で移動し、四条駅で降り、烏丸通から河原町までを四条通もしくは錦小路通を歩く方が多いようです。また、烏丸通周辺は商業施設やオフィスも数多くあり、ショッピングや通勤でも多くの人々が利用します。

3. 烏丸御池 (コロナ前:39,000人/日, コロナ後:24,000人/日)

次に乗降客が多いのは烏丸御池(からすまおいけ)駅です。

烏丸御池周辺も近年はよく観光客を見かけます(コロナ前)。どこに向かっているのかはよくわかりませんが、並木通りも美しいためか烏丸通から河原町間でよく観光客とよくすれ違います。また駅周辺はオフィスビルやマンションも多いため、通勤通学利用客も多くなっているものと思われます。

尚、この駅は烏丸線と東西線の乗り換えの駅になっていますが、上記グラフは改札を通過した乗降客数のみをカウントしており、乗り換え客数は含まれません。

4. 北大路 (コロナ前:32,000人/日, コロナ後:22,000人/日)

4番目に乗降客が多いのは北大路駅です。大学やイオンモールなどの商業施設、バスターミナルがあり、市の中心部から少し離れてはいますが、駅周辺は賑わいを見せています。周辺は閑静な住宅も多いため徒歩や自転車生活圏内の通勤通学利用客も多くなっています。

5. 丸太町 (コロナ前:22,000人/日, コロナ後:17,000人/日)

5番目に乗降客が多いのは丸太町駅です。コロナ前は7番目でしたが、コロナ前後で他と比較して少ないことから今回5番目となっています。周辺には京都御所や京都府庁、裁判所などがあり、官公庁が多いことも変動が少ない要因のひとつです。

6. 国際会館 (コロナ前:26,000人/日, コロナ後:16,000人/日)

6番目は国際会館駅です。烏丸駅の北の終着駅になります。
宝ヶ池公園に面しており、週末はたくさんの行楽客で賑わいます。また、その名の通り国際会議場である国立京都国際会館が隣接しています。
この駅以北は住宅街が多く、また、同志社中高や京都産業大学などもあり、通勤や通学でこの駅を利用する方も多くいます。

7. 今出川 (コロナ前:26,000人/日, コロナ後:16,000人/日)

7番目は今川駅です。コロナ前は5番目でしたが、2020年度のランキングでは7番目でした。
周囲には京都御所、相国寺をはじめ、同志社大学、同志社女子大学があり、学生の乗降客が多いのが特徴です。コロナ禍で多くの学生の移動が制限されたため、今出川駅の乗降客の多くを占める学生の利用が減ったことがランキング低下の要因です。

京都市営地下鉄 東西線の乗降客数推移

続いて東西線の年度ごとの乗降客数の推移を見ていきます。

2010年度に241,000人だった乗降客が2019年度では294,000人となっており、9年で53,000人増加しています。前年度比の伸び率を見てみると2014年度の3.4%、2015年度には4.6%と大きな伸びを見せており、烏丸線よりも増加率は高く、周辺人口の増加に伴い堅調に乗降客が増えていることが分かります。
しかしながら、コロナ禍の影響によりこちらも2020年度は207,000人まで減っており、減少率は-30%となっています。

京都市営地下鉄 東西線の駅別平均乗降客数の推移

次は東西線の各駅の乗降客数の推移を見ていきます。

その前に東西線の歴史を見てみます。烏丸線に遅れること1997年に醍醐駅 – 二条駅間が開業し、2004年に醍醐駅から六地蔵駅まで、2008年に二条駅から西に延伸し太秦天神川駅まで開通しています。また山科駅から大津までは京阪京津線と連絡しています。東西線と呼ばれていますが、山科から先は南下し六地蔵までは南北を走る地下鉄になっています。

では、市営地下鉄東西線の各駅の乗降客をプロットしたグラフを見てみます。

西の終点「太秦天神川」と東の終点「六地蔵」を含め烏丸線には17の駅があり、こちらもコロナ前は順調に乗降客数は増加傾向にありました。2020年度の東西線の乗降客ランキングは1位が山科、2位が三条京阪、3位が京都市役所前となっています。

1. 山科 (コロナ前:45,000人/日, コロナ後:33,000人/日)

駅南側に高層の商業施設やマンションが多く東西線では最も乗降客の多い駅となっています。
また、山科駅はJR線(湖西線と琵琶湖線)と連絡しており京阪京津線も乗り入れていることもあり、乗り換えの要所となっています。

烏丸御池から滋賀方面に向かう場合、東西線で山科でJRに乗り換えるルートと烏丸線でJR京都駅まで出て滋賀方面の電車に乗るルートと2種類選択肢があります。料金は東西線を使った方が安いのですが、通勤時間帯などは京都駅で乗車する通勤客が多く、山科駅からの乗車では席に座れない可能性もあります。

3. 三条京阪 (コロナ前:27,000人/日, コロナ後:19,000人/日)

京阪電車に乗り換え可能な三条通に面した駅になります。京阪に乗り換えたり、駅から鴨川を南下すれば祇園界隈に出ることもできます。

また、三条大橋で鴨川を西に超えれば、先斗町や木屋町や河原町に出ることも可能であり、多くの観光客、行楽客が訪れます。

2. 京都市役所前 (コロナ前:28,000人/日, コロナ後:18,000人/日)

その名の通り京都市役所前の駅であり、周辺には市役所をはじめとする行政の施設や宿泊施設であるホテルオークラがあり、少し南に向かえば寺町や新京極、河原町の繁華街に出ることができます。近年は近隣にマンションも多く建設されており、徒歩圏内の通勤通学利用客も多くなってきています。コロナ前後で三条京阪と順位が入れ替わっており、観光客の利用がこちらの方が多かったということかもしれません。

コロナ前後の乗降客の変化率

ここからはコロナ禍が地下鉄乗降客に与えた影響を駅別で見ていきます。
2019年度から2020年度にかけてどれくらいの乗降客が減ったのか、その減少率を駅ごとに計算して以下の表に示しています。

最も減少率が大きかったのは東西線の東山駅、蹴上駅そして二条城前駅でした。
東山駅、蹴上駅は岡崎エリアにある平安神宮や京セラ美術館、南禅寺、永観堂、また東山の知恩院や八坂神社、丸山公園など観光地に近く、観光客の影響を強く受けた結果が表れています。二条城前駅も同様、乗降客に占める観光客の割合が大きかったため減少率が大きくなっています。

また、今出川駅は前に紹介した通り、同志社大学が近くにありますが、学生の移動制限の影響を受けて減少率が大きくなったものと思われます。

このようにコロナ禍によって大きく影響を受けたのは、移動制限によって減少した「観光客」と「学生」の乗降客の割合が大きかった駅でした。

烏丸線2020年度
減少率[%]
東西線2020年度
減少率[%]
竹  田-28.7六 地 蔵-24.1
くいな橋-16.9石  田-13.3
十  条-15.8醍  醐-13.2
九  条-21.4小  野-19.9
京  都-43.6椥  辻-21.0
五  条-28.5東  野-20.8
四  条-37.2山 科-27.4
烏丸御池-38.8御 陵-17.6
丸 太 町-21.8蹴 上-41.8
今 出 川-42.0東 山-49.4
鞍 馬 口-22.7三条京阪-29.1
北 大 路-29.5京都市役所前-38.0
北  山-31.4烏丸御池-14.6
松 ヶ 崎-31.7二条城前-48.5
国際会館-37.5二  条-32.3
西大路御池-23.4
太秦天神川-30.5
烏丸線全体-35.3東西線全体-29.5
コロナ禍前後の比較(2020年度の2019年度に対する相対比)

おわりに

今回は京都市営地下鉄の乗降客数の年度ごとの推移をグラフで確認しました。

乗降客数の多い駅の特徴は、他の鉄道との乗り換え駅であることが多く、多くの人が改札を通って通勤・通学で行き来し、観光・ショッピングなどでも駅を訪れます。駅構内や駅周辺にはこれらの人々を集客すべく商業施設、ホテル等が多く立ち並び、結果として人が集まる地域は市場原理的には地価が高い地域となります。利便性が高いためこういった駅周辺で暮らしたいと思う人もたくさんいることでしょう。特に若い単身世帯には人気のエリアかもしれません。

一方で、こういった地域は人が混雑し、ゴミゴミして住居を構えて静かに暮らすには不向きと考える人もいるかもしれません。地価が高いため、ファミリー世帯向けの広い物件は割高となる可能性もあります。

物件選びの際はこれらの事情を考慮し、自分や家族に合った環境の物件を探す必要があります。口コミや不動産業者の案内と合わせて、上記グラフを物件選びに活用頂ければ幸いです。

尚、駅ごとの賃貸物件のトレンドや、周辺事情(商業施設や学校などの教育施設)については別の機会を設けて紹介したいと思います。