グラフで見る京都市の人口推移

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9月に入り、台風襲来もありましたが、比較的過ごしやすい日が続いています。

さて、今回は「京都市の人口の推移」をグラフで確認したいと思います。

近年、中央省庁をはじめ統計情報の公開が進んでおり、国や地方自治体が収集している統計情報を簡単に入手することができます。

◆政府統計の総合窓口
 https://www.e-stat.go.jp/

◆統計ダッシュボード
 https://dashboard.e-stat.go.jp/
 

各自治体も統計情報を公開しており、今回は京都市で公開されている情報を参考にしました。

◆京都市統計ポータル 人口動態

 ・時系列データ 自然動態 転入 転出
 https://www2.city.kyoto.lg.jp/sogo/toukei/Population/Dotai/

 ・時系列データ 人口 世帯数
 https://www2.city.kyoto.lg.jp/sogo/toukei/Population/Suikei/#t1

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京都市の人口の推移

では、さっそくグラフ化して人口の推移を見てみましょう。

人口推移の時系列データの最も古いデータは、なんと明治22(1889)年12月でした。100年以上も前からデータが蓄積されているなんて凄いですね。尚、国勢調査の結果が集計されるのは大正 9(1920)年10月のデータからです。

上のグラフは人口と世帯数の推移を表したものです。オレンジのラインが人口で右の縦軸、青いラインが世帯数で左の軸となっています。横軸は1889年から2019年までのデータです。

データを見ると1889年当時の人口は28万人、世帯数は63,000世帯となっています。明治に入り都が東京に移されてから、京都は廃れることなく、独自の力で商工業を中心に経済発展を遂げ、それに伴い人口も増加していきました。1895年に開業した日本初の電車(京都市電)はその経済発展の象徴であり、その背景には琵琶湖疎水の開通による水力電源の確保、水運の確保による流通の活性化があります。

その後、富国強兵により人口は増え続けましたが、第二次世界大戦開戦を機にその勢いは衰え、人口減少に転じます。終戦時にはピーク時から30万人ほど人口が減りました。

終戦後は再び人口はプラスに転じ、経済復興が進み、戦後10年目の1955年(昭和30年)に人口120万人を突破します。その後も高度経済成長に伴い人口は増加し続け、 1968年(昭和43年)には人口140万人を突破します。

その後、第2次ベビーブームが過ぎ去ると、人口増加率は緩やかとなります。このあと人口は頭打ちとなり、人口はマイナスに転じます。統計上の人口ピークは1986年(昭和61) 7月の 148万人(1,480,480人)です。そして平成、令和に入り2019年8月時点の人口は146万人(1,466,741人)となりました。

近年、京都市の人口は減少傾向にある

昭和の終わりのバブル期から平成、令和に至る40年の推移を拡大して示したのが下のグラフです。人口のピークは前述の通り1986年ですが、この時期はバブル絶頂期と重なります。バブル期に入り地上げや土地転がしなどによって地価が上昇し、都心部の住宅価格も高騰します。
 当時の様子は私には詳しくは分かりませんが、これだけ急激に人口が減少に転じているところを見ると、京都市内は地価高騰により住みづらくなり、転出超過が続いたのだと推測されます。
 バブルが弾け、平成に入ったあと人口はまた増加に転じますが、2015年あたりで頭打ちとなり、再び減少に転じています。

近年の人口減少は、少子高齢化に伴う人口減に加え、都心の地価高騰による転出超過が要因と考えられます。

京都市の世帯数の推移

次に世帯数について見てみましょう。世帯数は戦時中の混乱期を除いて右肩上がりで増加しています。人口が減少に転じても増加していることから核家族や単身世帯が増加していることが分かります。2019年8月時点の世帯数は726,176世帯です。

このことを人口を世帯数で割った「1世帯あたりの人員」をグラフ化して見てみましょう。

下のグラフのオレンジのラインが 「1世帯あたりの人員」 であり、右の縦軸で表しています。戦前は平均4~5人/世帯だったものが、徐々に減少し、2019年8月現在では1世帯の平均人員は2.02人となっています。

終わりに

今回は京都市が提供している統計データを元に京都市の人口をグラフ化してみました。人口動態はその時代がどのような時代であったかが色濃く反映されるデータの一つです。

日本全体で既に人口は減少に転じており、地方都市で人口増加を期待するのは少し厳しい気もします。しかし、今後の日本のそして地方都市の経済発展のためには、その源泉となる若い世代の人口はなんとかキープしておきたいものです。

上のグラフを見てもここ数年の人口減少には歯止めがかかっておらず、むしろ加速しているようにも見えます。西脇京都府知事は子育てしやすい住みよい街づくりを目指す政策を取り入れていますが、京都市の門川市長ももっと前向きに具体的な若い世代向けの政策を立案、奨励し、京都ならでは美しく住みよい街づくりを推進して頂きたいと思います。

国連が採択した「持続可能な開発目標(SDGs)」の観点から,全国815市区を対象に行われた 「全国市区・サステナブル度・SDGs先進度調査」で京都市は1位に選ばれています。市民の熱意や市のポテンシャルは十分にあると思います。財政が厳しいのは分かってはいますが、目先の利益に捕らわれず住みよい住宅環境が永続するような市政を期待したいと思います。

尚、人口動態の内訳(自然動態、転入、転出)については別の統計データがあるため、機会があればそちらも分析してみたいと思います。また、行政区による違いについても別途考察してみたいと思います。