京都市の最近の観光状況①(2023年データ)

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京都市の観光は、新型コロナウイルス感染症拡大により大きな影響を受けましたが、近年は回復傾向にあります。以下に、日本人観光客、外国人観光客、修学旅行の観点から、京都市観光協会が発表している「京都観光総合調査」等のデータを基に、時系列状況を示します。

1. 全体的な観光客数の推移

まず、京都市全体の観光客数(日本人・外国人の延べ人数合計)の推移を見てみましょう。

観光客数(延べ) 前年比 2019年比 備考
2019年 約5,352万人 100% コロナ禍前
2020年 約2,621万人 -51% 49% コロナ禍影響開始
2021年 約2,113万人 -19% 40% 最も落ち込んだ年
2022年 約2,596万人 23% 49% 行動制限緩和、
外国人受入再開(10月)
2023年 約4,361万人 68% 82% 外国人観光客急回復

コロナ禍で半減以下に落ち込んだ観光客数は、2022年から回復に転じ、特に2023年は外国人観光客の急増により大幅に回復しました。しかし、まだコロナ禍前の水準(2019年)には達していません。

2. 日本人観光客の動向

日本人観光客は、国内旅行需要に支えられ、比較的早い段階から回復が見られました。

日本人観光客数(延べ) 前年比 2019年比 日本人宿泊者数(実) 前年比 2019年比
2019年 約4,167万人 100% 約812万人 100%
2020年 約2,616万人 -37% 63% 約580万人 -29% 71%
2021年 約2,111万人 -19% 51% 約519万人 -11% 64%
2022年 約2,591万人 23% 62% 約662万人 28% 82%
2023年 約3,791万人 46% 91% 約911万人 38% 112%

延べ観光客数では、2023年にはコロナ禍前(2019年)の約91%まで回復しました。国内旅行需要の回復が顕著です。

特筆すべきは宿泊者数(実人数)で、2023年には約911万人となり、コロナ禍前の2019年(約812万人)を上回りました。これは、日帰りから宿泊へのシフトや、旅行スタイルの変化(より滞在型へ)などが影響している可能性があります。

3. 外国人観光客の動向

外国人観光客は、水際対策の影響で一時はほぼ消失しましたが、2022年秋以降、急速に回復しています。

外国人観光客数(延べ) 前年比 2019年比 外国人宿泊者数(実) 前年比 2019年比
2019年 約1,186万人 100% 約497万人 100%
2020年 約5万人 -100% 0% 約3万人 -99% 1%
2021年 約2万人 -58% 0% 約3万人 1% 1%
2022年 約40万人 2160% 3% 約65万人 2413% 13%
2023年 約570万人 1362% 48% 約406万人 522% 82%

2022年10月の個人旅行受入再開・ビザ免除再開以降、急激な回復を見せ、2023年には延べ人数で約570万人、コロナ禍前(2019年)の約半数まで戻りました。

宿泊者数(実人数)では、2023年に約406万人となり、コロナ禍前(2019年)の約82%まで回復しています。延べ人数ベースの回復率(48%)よりも宿泊者数ベースの回復率(82%)が高いことから、訪日外国人客の多くが京都に宿泊していることがうかがえます。

円安も外国人観光客の増加を後押ししていると考えられます。

2023年の外国人宿泊者数を国・地域別で見ると、1位 台湾、2位 アメリカ、3位 中国、4位 韓国、5位 香港の順でした。

4. 修学旅行の動向

修学旅行もコロナ禍で大きな影響を受けましたが、回復が進んでいます。

宿泊した学校数 前年比 2019年比 宿泊した生徒数 前年比 2019年比
2019年 577校 100% 約10.8万人 100%
2020年 189校 -67% 33% 約2.8万人 -74% 26%
2021年 364校 93% 63% 約5.0万人 82% 47%
2022年 546校 50% 95% 約8.3万人 66% 77%
2023年 633校 16% 110% 約9.7万人 16% 89%

コロナ禍で中止・延期が相次ぎましたが、感染対策を講じながら再開され、2023年には宿泊した学校数が633校となり、コロナ禍前の2019年(577校)を上回りました。

一方で、宿泊した生徒数(約9.7万人)は、2019年(約10.8万人)の約9割にとどまっています。学校あたりの参加人数の減少や、分散実施などの影響が考えられますが、全体としては力強く回復しています。

まとめ

京都市の観光は、2023年にはコロナ禍前の8割程度の水準まで回復しました。

日本人観光客は回復が早く、特に宿泊者数はコロナ禍前を上回る状況です。

外国人観光客は、水際対策緩和後に急回復しており、特に宿泊者ベースでの回復が顕著です。ただし、延べ人数ではまだコロナ禍前の半数程度です。

修学旅行も回復しており、宿泊校数はコロナ禍前を上回りました。

全体として京都市の観光は力強い回復を見せていますが、観光客の急増による混雑(オーバーツーリズム)への懸念も再び高まっています。今後は、持続可能な観光と地域住民の生活との調和を図る取り組みがより一層重要になっていくと考えられます。

出典: 京都市観光協会「京都観光総合調査」各年版(主に令和元年~令和5年版)