4月も終わりに近づき、平成時代から令和時代へと移り変わろうとしています。普段の生活が大きく変わる訳ではないですが、引き続き今回も賃貸物件データをグラフ化してトレンドを見ていきたいと思います。
このサイトでは京都市各区の間取り毎の賃料や専有面積について、WEB上のリアルデータをもとに定点観測・集計をおこなっています。
生データを元にした京都市のリアルな現状を見て頂き、物件探しの参考にしてください。それでは4月下旬の京都市の賃貸物件のトレンドを見ていきましょう。
京都市全体での間取り毎の賃料と専有面積はどれくらいか?
以下のデータは2019年04月21日時点での京都市内の賃貸物件を間取りごとに分類したものです。
グラフ中にそれぞれの間取りの賃料、専有面積、単位賃料の平均値を青字で記しています。
単位賃料とは賃料を専有面積で割ったものになり、1平方メートルあたりの賃料を表しています。各区の賃料の平均を算出する場合、ワンルームや3LDKなど広さの違う物件の賃料の平均値を計算しているため、専有面積が狭い物件が多い地域は平均賃料が下がる傾向があります。これを是正するために面積あたりの賃料である「単位賃料」の平均を比較することで物件の広さに左右されない賃料を比較できます。「ワンルーム」などの間取りの横に記してある白の数字は物件数となります。
京都市全体では、単身者向けとなるワンルームの平均家賃は4.1万円(+0.1万円)、1LDKの平均家賃は8.2万円(-0.1万円)となっています。
ファミリー向けとなる2LDKの平均家賃は8.6万円(-0.3万円)、3LDKとなると平均家賃は10.7万円(+0.2万円)となっています。(カッコ内は前回調査との差分です。)
専有面積に関してはワンルームで19.5m2(±0m2)、1LDKで41.8m2(+0.1m2)、2LDKで54.8m2(-0.1m2)、3LDKで68.7m2(-1.8m2)となっています。
賃料および専有面積に前回から大きな変動はありません。
前回(2019年3月2日)のデータはこちらです。
京都市各区の賃料と専有面積はどれくらい?
続いて賃料と専有面積の傾向は京都市各区でどのように違うのか、ランキング形式で紹介します。対象となるのはワンルームや1LDKなど全ての間取りを母数にした平均値です。
全体を通して賃料は5万円台から7万円台前半となっており、北区が最も安く中京区が最も高くなっています。平均賃料で見ると2万円の差となっています。
物件の数は伏見区が2382件と最も多くなっています。伏見区は京都市の11の区の中で最も面積が広く、住宅地も多いため賃貸物件数も多くなっています。最も物件数が少ないのは577件の東山区です。
専有面積の平均が最も広いのは西京区の40.7m2になります。続いて山科区の37.4m2です。
間取り毎の平均賃料はどれくらい?
上記のデータはワンルームや3LDKなどすべての間取りの平均値でしたが、次は間取り毎にデータを分けてみてみましょう。
これで間取りごとの賃料が各区でどれぐらい異なるかが分かります。
ワンルーム
ワンルーム物件は3.3万円から5.3万円です。最も安いのは北区、最も高いのは中京区という結果になりました。
1K
1K物件は3.9万円から5.8万円です。最も安いのは北区、最も高いのは下京区という結果になりました。
1LDK
続いて1LDKです。最も安いのは西京区、最も高いのは下京区になりました。その賃料は10万円には届いていませんが中京区、上京区、下京区は僅差で10万円弱の値段です。
2LDK
2LDKの賃料は7.0万円から13.9万円です。最も安いのは伏見区、最も高いのは中京区という結果になりました。賃料の差は約2倍です。
3LDK
続いて3LDKの賃料です。最も安いのは山科区の8.0万円、最も高いのは中京区で21.5万円と前回に引き続き20万円を超えました。その差3倍弱です。ファミリー世帯向けの広くて価格的にリーズナブルな物件を探すには伏見区、西京区山科区あたりが適しています。市中心部の上京区、中京区は20万円台の物件もあり、なかなか手が出ません。
各区の賃料の分布はどうなっている?
次に各区毎に賃料や専有面積の分布をヒストグラムにしたものを紹介します。
それぞれの間取りがその区でどのように分布しているかが分かります。また、賃料と専有面積の散布図も載せています。この専有面積と賃料の二つのパラメータには正の相関があり、面積が広いほど賃料が高くなる傾向が回帰直線を見ることで分かります。直線の傾きが大きいということは面積の増加の割合に対して賃料の増加の割合が大きいということであり、単位面積あたりの賃料が高いことを表しています。つまりその地域の地価が高いということを表しています。
それでは順に各区の物件の分布をヒストグラムと散布図で見ていきます。
1.北区
◆間取り毎の賃料・専有面積・単位賃料
◆賃料・単位賃料ヒストグラム
◆賃料・専有面積 散布図
北区のトータルの専有面積平均値は30.2m2となっていますが、一方で3LDKの専有面積の平均は70mを超えており市内でも広い専有面積を誇ります。平均値が小さいのは1Kの間取りの物件が多く、その専有面積に引っ張られているためです。尚、回帰直線の係数は0.13です。前回より0.01ポイント上昇しています。
2.西京区
◆間取り毎の賃料・専有面積・単位賃料
◆賃料・単位賃料ヒストグラム
◆賃料・専有面積 散布図
西京区は市の郊外にありますが、京都市中心部、および大阪までアクセスが良いこともあり、ファミリー世帯、単身世帯問わず物件数も多く、人気のエリアとなっています。専有面積のヒストグラムを見ると狭い物件から広い物件まで、まんべんなく分布しています。
回帰直線の係数は0.09(前回と比較して+0.01)と低く比較的リーズナブルな物件が多く、また専有面積の平均値が全区で唯一、40m2を超えており、広い物件が多いのも特徴です。
3.東山区
◆間取り毎の賃料・専有面積・単位賃料
◆賃料・単位賃料ヒストグラム
◆賃料・専有面積 散布図
東山区の特徴は物件数が全区の中で最も少ないことです。また、件数が少ないため賃料の高い物件が出ると、平均値がその物件に引っ張られて上下するため、調査ごとの変動が大きくなります。今回も物件数は577件と全区で最も少なくなっています。また、2LDK 11件の物件の賃料が3LDKの平均よりも高めの値となっており、東山区ならではの高級物件の可能性があります。
4.右京区
◆間取り毎の賃料・専有面積・単位賃料
◆賃料・単位賃料ヒストグラム
◆賃料・専有面積 散布図
ヒストグラムを見ると2万円台と5万円台の二つの山が見えます。同じく専有面積にもふた山あります。1K物件786件の山と1LDK(146件)/2DK(194件)/2LDK(204件)の山のふた山と推定されます。回帰直線の係数が0.12と北区、伏見区、山科区の分布に近い傾向があります。
5.左京区
◆間取り毎の賃料・専有面積・単位賃料
◆賃料・単位賃料ヒストグラム
◆賃料・専有面積 散布図
こちらも右京区と同様、回帰直線の係数は0.14(前回と同じ)です。散布図の分布をみると60m2より広い物件で、20万円を超える物件がちらほらあります。前回も紹介しましたが、岡崎エリア、国際会館エリアなど高級分譲マンションが賃貸として出されるケースがあり、広い物件の賃料を押し上げています。
6.上京区
◆間取り毎の賃料・専有面積・単位賃料
◆賃料・単位賃料ヒストグラム
◆賃料・専有面積 散布図
ヒストグラムを見ると、全区の中で最も1Kの物件数が多くなっています。同志社大学が区の中央に位置し、その多くが学生向け物件となっています。1K物件が多いため平均賃料は若干低めになっていますが、回帰直線の係数は0.2と前回と同じ値であり、中京区、下京区と同様に地価が高いことを物語っています。また、3LDKの平均専有面積が90m2を超えており、広め物件が複数賃貸に出ているようです。ちなみにこれらの賃料は20万円を超えています。
7.中京区
◆間取り毎の賃料・専有面積・単位賃料
◆賃料・単位賃料ヒストグラム
◆賃料・専有面積 散布図
回帰直線の係数0.24と全区でも最も大きな値です。加えて3LDKの平均賃料は20万円を超えており、このエリアの地価が高騰していることが分かります。このブログでも度々言及していますが、観光客向けのホテルラッシュが現在でも続いており、これが地価の高騰の要因のひとつとなっています。
8.下京区
◆間取り毎の賃料・専有面積・単位賃料
◆賃料・単位賃料ヒストグラム
◆賃料・専有面積 散布図
中京区ほどではありませんが、京都駅周辺の再開発による地価高騰により賃料も上昇傾向にあります。京都市営地下鉄の四条、五条、京都駅周辺は交通の便が良く、商業施設も多いためこの界隈の物件は若い一人暮らし世帯にも大変人気があり単身世帯向けの物件も多く存在しています。
9.南区
◆間取り毎の賃料・専有面積・単位賃料
◆賃料・単位賃料ヒストグラム
◆賃料・専有面積 散布図
賃料の分布を見ると5万円から6万円台のリーズナブルな物件が最も多いようです。単位賃料が2500円/m2付近に1K/1LDKと見られるピークがあります。新築ではありませんが、京都駅周辺の西九条、東九条エリアの単身世帯向けの物件の賃料が上昇しているようです。
10.伏見区
◆間取り毎の賃料・専有面積・単位賃料
◆賃料・単位賃料ヒストグラム
◆賃料・専有面積 散布図
京都市で最も面積が広い区であり、物件数も2382件と最も賃貸物件が多くなっています。ヒストグラムを見るとSigmaが1.9万円とバラつきが小さく、賃料10万円でワンルームから3LDKまでのほとんどが収まっています。こちらも賃料ヒストグラムに3万円台と5万円台にピークがあります。
広めの物件も多く、京都中心部もしくは、京阪電車で大阪に通うファミリー世帯に人気があるエリアです。
11.山科区
◆間取り毎の賃料・専有面積・単位賃料
◆賃料・単位賃料ヒストグラム
◆賃料・専有面積 散布図
回帰直線の係数0.08、平均賃料5.5万円とリーズナブルな価格帯が多いこともあって最近注目を集めている区です。西京区、伏見区同様、交通アクセスも良いベッドタウンであり、JR山科駅周辺にはたくさんの商業施設もあり、市営地下鉄東西線沿線の交通の利便性もよいことからファミリー世帯、単身世帯向け共に物件が多くなっています。
終わりに
2019年3月度に引き続き4月度の各区の間取りごとのヒストグラムや、賃料と専有面積の散布図を紹介しました。
引っ越しシーズンが一段落し、物件数も落ち着いてきた感じがあります。人によっては引っ越し業者が手配できなかったなどの理由でGW前に引っ越しをされる方もいるようです。
平成が終わり令和の時代に突入します。少子高齢化、単身世帯や空き家の増加による都市構造の変化など平成時代から積み残した問題は数多くありますが、次の時代も引き続き日本経済が安定し、安心して暮らせる日本の住環境が継続することを望むばかりです。
引き続き、京都市およびその周辺地域の住環境の流れをデータとして記録し続けたいと思います。皆さんの賃貸物件探しの参考にして頂ければ幸いです。
過去のデータは以下を参照してください。