京都市の読めそうで読めない難読地名 (右京区編)

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難読地名は日本各地にありますが、京都にも難読地名がたくさんあります。

駅名や町名、通り名など観光で来られて読み方が分からないと、漢字変換すらままならないのでスマホで検索すらできません。
長い歴史の中で定着した地名は難解なものも多く、正直なところ京都に住んでいても、自分の住んでいるエリアから外れると正確に読めない、間違えて覚えている場合もあります。

読めそうで読めない、そんな京都市の難読地名を紹介します。今回は右京区を紹介します。

京都市内の住所の特徴、通りの名前については、以前紹介した以下の投稿をどうぞ。

太秦 (うずまさ) 右京区

では、早速みていきましょう。

まずは右京区にある太秦(うずまさ)です。

京都ではメジャーな地名ですが、初見ではまず読めないと思います。

「太秦映画村」があり、JR山陰線の駅である「太秦駅」や京都市営地下鉄東西線の「太秦天神川駅」、嵐電の「太秦広隆寺駅」にその地名が使われていますので音として聞いたことがある方は多いと思います。ただ、いざ書けと言われると出てこないです。

「太秦」の由来ですが、平安京遷都以前に大陸からの渡来人「秦氏」が定住したことからその名がついているとされています。
日本書紀によると、当時の天皇に絹を「うずたかく」収めたことから「うずまさ」の姓を与えられたということです。

また、聖徳太子に仕えた秦氏が、聖徳太子を供養するために建立したのが広隆寺とも言われ、秦氏の「秦」と太子の「太」を合わせて「太秦」としたとも言われています。このように広隆寺は平安遷都以前に建てられた京都最古の寺であり、創建は603年になります。

太秦は京都でもかなり古くから存在する地名であり、秦氏よりもたらされた農耕・機織り・酒造・養蚕などの高度な技術はその後の京都の発展の礎となっています。

同じ地域にある蚕ノ社(かいこのやしろ)神社も秦氏ゆかりの神社と言われ、京都の三大珍鳥居のひとつ三柱鳥居で有名です。

帷子ノ辻 (かたびらのつじ) 右京区

「かたびらのつじ」と読みます。京都にお住まいの方は京福電鉄(通称、嵐電)の駅名として聞いたことがある地名かもしれません。

この駅は右京区太秦帷子ケ辻町にあり、京福電鉄嵐山本線と北野線が接続する乗換駅です。
駅名は「帷子ノ辻駅」ですが、町名は「帷子ヶ辻町」になります。読みはどちらも「かたびらのつじ」です。
帷子(かたびら)とは裏地をつけない表地だけの単衣の方枚(かたひら)の衣服のことで、古来、日本では夏に着る着物として定着していました。

車折 (くるまざき)  右京区

同じく太秦にある地名で「くるまざき」と読みます。
駅からすぐ南に車折神社があることで有名です。

車折神社は学業成就、商売繁盛や家庭円満などの願いを叶えてくれるほか、境内には芸能神社と呼ばれる神社があり、東映の映画撮影場が近隣にあることから、芸能人や芸術で活躍する人たちがたくさん訪れています。境内の柵には知っている芸能人の名前がたくさん書いてあったりします。

車折神社
京都嵐山の【車折神社】の公式サイトです。各種メディアに「パワースポット」として多数掲載されています。

罧原 (ふしはら) 右京区

「ふしはら」と読みます。

桂川の左岸、堤防沿いに嵯峨美術大学のキャンパスがあります。

この堤防沿いに府道29号線が嵐山まで続いていますが、堤防沿いは大きな建物や木が無いので対岸の松尾や嵐山の見晴らしが抜群です。

双ヶ丘 (ならびがおか) 右京区

「ならびがおか」と読みます。太秦の北、仁和寺の南に位置する小高い丘があるエリアです。御室双ヶ岡(おむろならびがおか)町という地名があります。

小高い丘は双ヶ岡のその名のとおり、複数の丘から成っており、一の丘、二の丘、三の丘から成っています。この小高い丘には、大小合わせて古墳が24基も作られており、このあたりを治めた秦氏の墓と言われています。

表記は、双ヶ丘のほかに、雙ヶ岡、双ヶ岡といったものもあるようです。

化野 (あだしの) 右京区

嵐山の北に位置し、浄土宗の化野念仏寺(あだしのねんぶつじ)で有名です。

化野(あだしの)は平安時代以来の墓地であり、風葬の地となっていました。

平安京の人口は10万とも言われ、まだ火葬も一般的ではなかった時代、亡くなった人は化野(あだしの)に風葬されていました。

京都には化野(あだしの)の他にも三大葬地と呼ばれる鳥辺野(とりべの)、蓮台野(れんだいの)がありました。昔の一般人はお墓に入るのではなく、風葬(つまり放置)だったようです。

念仏寺の境内には約8000体という石仏・石塔がありますが、これらは風葬によって周囲に散在していたたくさんの無縁仏を集めて供養するために建てられたものと言われています。

明るい昼間の雰囲気はそうでもないですが、夜のミステリアスな雰囲気は夏でも涼しさを感じるほどです。

終わりに

京都市、右京区の読みにくい地名を紹介しました。

右京区は「秦氏」由来の歴史の古い地域が多く、読みも難しいものが多いです。

嵐電の駅名ですら読めなかったりします。蚕ノ社(かいこのやしろ)、帷子ノ辻(かたびらのつじ)、車折神社(くるまざきじんじゃ)、鹿王院(ろくおういん)あたりは難読駅ですね。

訪れる際は、その不思議な名前と由来の歴史を紐解いてみると面白いかもしれません。