新型コロナウイルスの発生から3年余りが経ち、ゴールデンウィーク明けの令和5年5月8日から感染症法上の位置づけが2類相当からインフルエンザなどと同等の5類に変更されることになりました。
これにより政府や都道府県の対策本部も廃止され緊急事態宣言などは無くなり、飲食店に対する営業時間短縮などの要請も無くなります。水際対策も原則的に無くなり移動制限も無くなります。
ちょうど一年前にコロナ禍で観光客が激減した京都市におけるホテル稼働率の推移について調査しました。観光都市京都にしてみれば、観光客を呼び込めない移動制限は死活問題であり、ホテルの稼働率の数字には現実の厳しさが如実に表れていました。
その長かったコロナ禍がようやく終息を迎えつつあり、京都市は再び観光客が多く訪れる賑わいの街並みを取り戻しつつあります。そこで今回この時期のホテル稼働率を再び調査しました。
出展は京都市観光協会データ月報になります。
京都市観光協会が毎月発行している観光に関するレポート
1年前の2022年2月のレポートでは
京都市のホテルの客室数は55,671室、客室稼働率は32.1%と全客室のおよそ3分の1の1万8千室しか稼働していないかなり低調な稼働率でしたが、
2023年3月のレポートでは、
ホテルの客室数は58,580室、客室稼働率は78.0%とかなりの水準まで回復していることがわかります。稼働率は2倍以上になっています。
この回復した数値は実際の街中の光景を見ても実感できるものがあります。
京都市内にある地下鉄のホームではスーツケースを引く観光客を多く目にするようになり、京都市内の繁華街でも多くの外国人観光客が訪れています。
コロナ禍前は中国を始めとするアジア系の観光客を多く目にしていましたが、今は欧米系とアジア系がそれぞれ半分くらいであり、中国系の観光客の回復には時間がかかっているようです。
下のグラフはコロナ禍が始まる2020年3月からの3年のホテル稼働率の推移を示しています。
コロナ発生直後の2020年4月にどん底の5.8%を記録したホテル稼働率もその後、3年かけて緩やかに回復していっているのが分かります。休業補償やコロナ禍支援を受けながらこの3年間耐えてきた観光業界ですが、ようやく長かったトンネルの出口が見えてきたようです。
コロナ禍で大きな打撃を受けた旅行やエンターテインメント産業にとっては需要回復の期待が高まりますが、焦りは禁物です。過剰なインバウンドやコロナ禍以前に発生した観光公害のような事態とならないよう、行政には過去の経験を活かして住民の生活と観光のちょうどよいバランスを取って欲しいと思います。