京都御苑を襲った大自然の脅威

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今年2018年も残すところあと僅かとなりました。
毎年恒例の清水寺で公開される2018年の漢字は「災(わざわい)」でした。
振り返ると、今年は地震に台風にと身近に起こった天災に翻弄された一年でした。

その中でも9月に西日本を直撃した台風21号・24号は記憶に新しく、日本各地の広範囲に甚大な被害をもたらしました。京都も例外ではなく、台風は大きな爪痕を残していきました。

京都は近畿北部に位置するため、近年に至るまで目立った台風被害の記憶はありませんでした。京都は内陸部にあるため、京都に近づく頃には台風の勢力が弱まってしまうからです。
しかし、今年の台風21号、24号の猛烈な風により建築物の倒壊や破損、倒木が相次ぎ、京都でも家屋倒壊をはじめ、貴重な文化遺産も被害を受けました。
そして、市民に身近な京都御苑にも甚大な被害をもたらしました。


上の写真は今年の春に咲き誇っていた鷹司邸跡の北側に位置する御苑でも有名な桜です。しっかり根の張った見事な桜でした。


それが、今回の台風による強風で根本からポッキリ倒れてしまいました。これまで何十年も倒れずにいた桜です。今回の台風は、これまで経験したことのない凄まじい風だったのでしょう。


このまま倒しておくのも危険なので根本から切断され、今では切り株だけの寂しい姿になっています。


この切り株が、かつてりっぱな花を咲かせる桜だったとは想像することも難しくなってしまいました。あの桜ももう見ることは出来ません。


他にも倒木が相次ぎました。根こそぎ倒れた木や傾いた木など、御苑の至る所で痛ましい光景が目に入ります。

これほど立派に育った大木でも台風の強風によって簡単に倒れてしまうのです。もしかすると御苑の地下は地盤が固く、木の根が深いところまで届いていなかったのかもしれません。これまで強固に根を張らなくても被害を被ることがなかった大木にしてみれば、初めての体験だったに違いありません。

現在では伐採や修復を経て、ほぼ元通りの景観に戻っていますが、たった一晩の脅威によって、市民がこれまで愛情をもって見守り続けた誇りある樹木が倒れてしまったことは大変残念でなりません。

人工物は修理によって、なんとか元の姿を取り戻すことができますが、自然の樹木は一度倒れると元の姿に戻すことはできません。伐採後に植樹したとしても元の大木の姿になるには何十年も待たなくてはなりません。

京都市では他にも下鴨神社や平野神社、醍醐寺などで被害があり、今年はまさに「天災」が猛威を振るった年でした。
京都という貴重な文化遺産を守るという意義に対してこれまで人災ばかりに目を向けていましたが、天災という自然の猛威に対しては人は無力であることを痛感した年でもありました。