写真は京都御苑のしだれ桜です。今年も見事に咲きました。
さて、京都市には11の行政区があり、区毎に色々な特色の違いがあり、産業も異なり、また住む人も異なっています。職業にもそれぞれ違いがあると思います。
京都市のエリアごとで職業の違いはあるのでしょうか?エリアによって人気の職業、従事している職業に違いはあるのでしょうか?
国勢調査の項目にどんな産業(職業)に従事しているかを記入する欄があります。これらを集計すると地域毎にどんな職業の人が多いかが分かります。
以下にグラフを示しますが、結果から言うと当初想定していたよりも、かなりはっきりとしたエリアによる職業の違いが浮き彫りになりました。改めて国勢調査の威力を感じた次第です。
それではいくつかの産業に絞って早速見ていきましょう。
建設業従事者が多いエリア
建設業に従事している人が住んでいるエリアをランキング形式で人口が多い順にグラフ化しました。上位を占めているのは京都市の南東エリアになる伏見区東部と山科区南東部になります。おそらく歴史的な経緯があると思われますが、なぜ建設業がこのあたりに集中しているのかは良くわかりません。
製造業従事者が多いエリア
製造業に従事している人が住んでいるエリアをランキング形式で人口が多い順にグラフ化しました。上位を占めているのは京都市の南部エリアになる伏見区西部と南区西部になります。南区南部や伏見区南部には多くの工場が立地しており、その周辺のエリアとなる 久我、久世、久我の杜、羽束師あたりが通勤にも便利で土地の値段も手頃であるため多くの製造業従事者が住んでいると思われます。
卸売・小売業従事者が多いエリア
続いて卸売・小売業です。南区、下京区に集中しています。京都駅の西側、梅小路公園の周辺および、中京区の四条河原町周辺が特に多いようです。また、上京区の嘉楽、乾隆エリアも人数的には多くなっています。
尚、梅逕というエリアは下京区と南区の両方に存在しますが、元は一つの学区であったものが
昭和30年に下京区から南区が分区したことに伴い、梅逕学区も分かれ、現在の二つのエリアに分断されたとのことです。
宿泊業・飲食サービス業従事者が多いエリア
宿泊業・飲食サービス業に従事している人が住んでいるエリアをランキング形式で人口が多い順にグラフ化しました。
結果を見ると見事に東山区一色になっています。東山七条以北は三十三間堂や清水寺、八坂神社、祇園など観光資源が豊富で飲食業、宿泊業が多いのも頷けます。国勢調査の調査項目は「店舗の位置」でなく、「従業員の居住エリア」なのですが、中小規模の自宅兼店舗や旅館となっているエリアが多いという理解で良いと思います。また、中京区の立誠や下京区の永松も東山区に隣接するエリアですので、京都の宿泊、飲食業の中心地はやはり東山区と言えます。
学術研究・専門・技術サービス業従事者が多いエリア
「学術研究・専門・技術サービス業」とは大学関係の学術・開発研究機関、法律事務所、行政書士事務所、税理士事務所、広告・デザイン業、建築設計業、機械設計業、獣医業、芸術家業、経営コンサルタント業に従事する専門性の高い業種とのことです。
富有や下鴨には裁判所があり、周辺には法律事務所がたくさんあります。また、鴨川の東岸には京都大学、鴨川の西岸には京都府立医科大学があり、これら学術関係に従事される先生方や医療従事者の方々が上記ランキングに入ったエリアに多く住んでいるようです。
松ヶ崎には京都工芸繊維大学やノートルダム女子大学があり、京都大学を含め、大学関係者も多く住んでいるエリアになります。葵エリアも同様です。
尚、上京区の中立は府庁があるエリア、柳池は市役所があるエリアとなっています。
終わりに
国勢調査結果を元に、京都市内の各エリアごとにどんな職業の人が多いのかを調査しました。
結果は、以下のようにエリアごとの特色がはっきりと出る形となりました。京都のこれまでの産業の歴史がこれらのエリアごとの違いを生んでいると想像されます。他にも産業はあるのですが、今回は特色がよりくっきりと出た産業に絞って紹介しました。
・建設業は京都市南東部
・製造業は京都市南西部
・卸売・小売業は下京区の京都駅の西側周辺および四条河原町周辺
・専門性の高い学術研究・専門・技術サービス業は市中心部の大学周辺や裁判所周辺
国勢調査の結果を読み解くと、もっと面白いことが分かるかもしれませんがそれはまた別の機会に紹介したいと思います。
それにしても京都の地名は歴史が深く難読地名が多いです。読み仮名が無いと正直読めません。