京都市の独特な住所の仕組みについて、以下の記事で紹介しました。今回は京都市の長い「町名」について紹介したいと思います。
京都市内には古い歴史も相まってたくさんの〇〇町といった町名があります。
余りに多すぎるので、その町名を言ってピンとくる人は多くなく、多くの市民は通り名で覚えています。
例えば、京都新聞社の本社の住所は「京都市 中京区 烏丸通夷川上ル 少将井町239番地」になります。
京都の碁盤の目の区域だと住所の構造は「京都市」「〇〇区」「通り名」「町名」「番地」となっています。
京都新聞社の例だと、
「京都市」「中京区」「烏丸通夷川上ル」「少将井町」「239番地」となり、通り名となる「烏丸通夷川上ル」を見た時点で「烏丸通と夷川が交差したちょっと北の辺りだな」と想像がつく仕組みになっています。
縦と横の通りが直角に通っている碁盤の目構造ならではの位置の特定の方法ですが、そもそも通り名の順番を覚えていないとピンと来ませんので、
「丸竹夷に~」「寺御幸麩屋富~」といった通り名を覚える唄が京都には存在します。

さて、このように通り名を使うことで非常に住所が長くなってしまう京都の地名ですが、碁盤の目の外でも町名の位置が分かりやすいように「町名」自体がとても長い地名があります。
下の結果を見てもらうと分かるのですが、京都市自体がとても細かく町を分けていることもあり、○○寺の東の○○町のようにランドマークである寺を中心に町名の位置が分かりやすいように工夫されています。
京都市すべての区で、漢字の長さだけをランキングしたものが以下の表になります。
並べてみると京都ならではの歴史の重みを感じる地名・住所です。
区名 | 町名 | 漢字 文字数 | 読み仮名 | 仮名 文字数 |
京都市右京区 | 嵯峨二尊院門前善光寺山町 | 12文字 | サガニソンインモンゼンゼンコウジヤマチョウ | 21文字 |
京都市右京区 | 嵯峨釈迦堂門前南中院町 | 11文字 | サガシャカドウモンゼンミナミチュウインチョウ | 22文字 |
京都市右京区 | 西京極徳大寺西団子田町 | 11文字 | ニシキョウゴクトクダイジニシダンゴデンチョウ | 22文字 |
京都市右京区 | 嵯峨二尊院門前往生院町 | 11文字 | サガニソンインモンゼンオウジョウインチョウ | 21文字 |
京都市右京区 | 嵯峨二尊院門前北中院町 | 11文字 | サガニソンインモンゼンキタチュウインチョウ | 21文字 |
京都市南区 | 吉祥院西ノ庄猪之馬場町 | 11文字 | キッショウインニシノショウイノババチョウ | 20文字 |
京都市右京区 | 嵯峨大覚寺門前堂ノ前町 | 11文字 | サガダイカクジモンゼンドウノマエチョウ | 19文字 |
京都市右京区 | 嵯峨大覚寺門前宮ノ下町 | 11文字 | サガダイカクジモンゼンミヤノシタチョウ | 19文字 |
京都市右京区 | 嵯峨釈迦堂門前瀬戸川町 | 11文字 | サガシャカドウモンゼンセトガワチョウ | 18文字 |
一番長かったのは右京区にある「嵯峨二尊院門前善光寺山町」の漢字12文字でした。
「善光寺山町」だけではピンときませんが、ランドマークとなる紅葉で有名な嵯峨の二尊院の門前といえば、なんとなく位置がイメージできる町名になっています。

日本各地の地名にある大字、小字のような分け方と同じ感覚なのですが、町の数が非常に多いため町名を識別するために通り名やランドマークとなる寺社などのいろいろな情報を付け足す必要があったのでした。
京都市内の町数を郵便番号検索のページで調べた所、全体で4663町ありました。その中で「亀屋町」は11町、「桝屋町」は10町ありますので、何かしら識別の仕組みが必要ですね。
ちなみに郵便番号はそれぞれの町に個別に振られているので、郵便番号さえしっかり書いておけば郵便物は届きます。
初めてみる京都の住所は漢字の羅列でとても長く、ピンとこないと思いますが、区切ってよく読んでみると、実は理にかなった分かりやすい地名であることがお分かり頂けたでしょうか。
京都の住所検索や京都の町歩きの際にお役に立てれば幸いです。