令和元年5月の京都市の賃貸物件の分布 -その2-

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このサイトでは京都市各区の賃貸物件の間取り毎の賃料や専有面積について、WEB上のデータをもとに定点観測・集計をおこなっています。
数値データのままでは全体像を把握するのが難しいため、区ごとに賃料や専有面積をグラフ化して見やすくまとめています。少し、情報量が多いですが、京都市の今のリアルなデータを見て頂き、物件探しの参考にして頂ければと思います。それでは5月下旬の京都市の賃貸物件のトレンドを見ていきましょう。

京都市各区の賃料の分布

次に京都市各区毎に賃料の分布をヒストグラムにしたものを紹介します。
各区によってそれぞれの間取りがどのように分布しているかがグラフから分かります。
また、専有面積と賃料の散布図も載せています。この二つのパラメータには正の相関があり、面積が広いほど賃料が高くなる傾向が回帰直線を見ることで分かります。傾きが大きいということは面積の増加の割合に対して賃料の増加の割合が大きいということであり、単位面積あたりの賃料が高いことを表しています。

それでは順に各区の物件の分布をヒストグラムと散布図で見ていきます。

北区

◆間取り毎の賃料・専有面積・単位賃料

◆賃料・専有面気・単位賃料ヒストグラム

◆賃料・専有面積 散布図

まずは、北区です。北区は単身者向け1K物件が多く、物件数1825件のうち、896件が1Kの物件です。
1Kが多いのは、立命館大学、京都産業大学、佛教大学、大谷大学といった大きな大学があり学生用の賃貸物件が多いためです。専有面積も北区のトータルの平均値は31.9m2と1Kが多いため低めの数値となっています。尚、回帰直線の係数は0.13です。前回より0.01ポイント増えています。

西京区

◆間取り毎の賃料・専有面積・単位賃料

◆賃料・専有面気・単位賃料ヒストグラム

◆賃料・専有面積 散布図

西京区は専有面積20m2~70m2まで幅広く分布しており、単身世帯問わず物件数も多く、人気のエリアとなっています。回帰直線の係数は0.09と前回より0.01高くなっていますが、比較的リーズナブルな物件が多く、また今回も専有面積の平均値が全区で唯一、40m2を超えており、広い物件が多いのも特徴です。

東山区

◆間取り毎の賃料・専有面積・単位賃料

◆賃料・専有面気・単位賃料ヒストグラム

◆賃料・専有面積 散布図

東山区は総物件数が904件と全区で最も少なくなっています。これは東山区には有名な観光スポットである八坂神社や丸山公園、清水寺、知恩院を始めとして大きな寺社が多く、総じて宅地用の土地も少なくなっているため、地価が上がり、賃料も高めの設定となっています。加えて、近年ではホテルの建築ラッシュもあり、地価の上昇に拍車をかけています。1LDK、2LDK、3LDKの賃料が京都市内でも高めの設定になっています。

右京区

◆間取り毎の賃料・専有面積・単位賃料

◆賃料・専有面気・単位賃料ヒストグラム

◆賃料・専有面積 散布図

右京区はヒストグラムを見ると前月同様、5万円前後の物件が多く、2K、2DKの物件でも5万円台の物件が多くあります。回帰直線の係数が0.12ですので、北区の分布に近い傾向があります。

左京区

◆間取り毎の賃料・専有面積・単位賃料

◆賃料・専有面気・単位賃料ヒストグラム

◆賃料・専有面積 散布図

こちらも右京区と同様、回帰直線の係数は0.14ですが、散布図の分布をみると60m2より広い物件で、賃料が高い側にバラついていることが分かります。Sigmaは右京区2.5万円に対して左京区3.6万円ですので、バラつきは左京区の方が大きくなっています。岡崎エリアなど高級分譲マンションが賃貸として出されるケースがあり、広い物件の賃料を押し上げています。

上京区

◆間取り毎の賃料・専有面積・単位賃料

◆賃料・専有面気・単位賃料ヒストグラム

◆賃料・専有面積 散布図

先月に引き続き、全区の中で最も1Kの物件数が多くなっています。閑静な住宅が広がる今出川駅周辺や西陣地区にこれらの単身者向けの間取りの物件が多くなっています。また、堀川通沿いにはスーパーや商店街もあり、市の中心部にもアクセスがよいため上京区は人気のエリアになっています。1K物件が多いため平均賃料は若干低めになっていますが、回帰直線の係数は0.18と前回2.0より0.02ポイント下落していますが、他の区と比較するとまだまだ地価は高い傾向にあります。

中京区

◆間取り毎の賃料・専有面積・単位賃料

◆賃料・専有面気・単位賃料ヒストグラム

◆賃料・専有面積 散布図

専有面積50m2以上の物件のバラつきが大きくなっています。Sigmaは4.9万円と前回同様、賃料が高い側のヒストグラムの裾野が広がっています。市の中心部ということもあり、平均賃料は7.0万円と最も高くなっています。加えて、このブログでも度々言及していますが、観光客向けのホテルラッシュによる宅地不足により地価が高騰し、3LDKに至っては20万を超える賃料となっています。このハードルの高さが京都市にとって良いことなのか悪いことなのか、色々な側面で各所で議論を呼んでいます。回帰係数は0.26と全区で最も高くなっています。

下京区

◆間取り毎の賃料・専有面積・単位賃料

◆賃料・専有面気・単位賃料ヒストグラム

◆賃料・専有面積 散布図

京都駅周辺の再開発による地価高騰により、賃料も上昇傾向にあります。また、京都市営地下鉄の四条、五条、京都駅周辺は交通の便が良く、商業施設も多いためこの界隈の物件は若い一人暮らし世帯にも大変人気があり単身世帯向けの物件も多く存在しています。

南区

◆間取り毎の賃料・専有面積・単位賃料

◆賃料・専有面気・単位賃料ヒストグラム

◆賃料・専有面積 散布図

今回の南区の物件数は1158件です。南区には企業や工場も多く、職場の近くに住みたいニーズを拾った物件が多くなっています。平均賃料は6.2万円、平均専有面積は34.2m2となっています。

伏見区

◆間取り毎の賃料・専有面積・単位賃料

◆賃料・専有面気・単位賃料ヒストグラム

◆賃料・専有面積 散布図

京都市で最も面積が広い区であり、物件数も3219件と最も賃貸物件が多くなっています。ヒストグラムを見るとSigmaが1.9万円とバラつきが小さく、賃料10万円でワンルームから3LDKまで綺麗に収まっています。2LDK,3LDK共に物件数が豊富にあり、近鉄、市営地下鉄で京都中心部もしくは、京阪電車で大阪に通うファミリー世帯に人気があるエリアです。

山科区

◆間取り毎の賃料・専有面積・単位賃料

◆賃料・専有面気・単位賃料ヒストグラム

◆賃料・専有面積 散布図

6万円台の物件が多く、西京区、伏見区同様、交通アクセスも良いベッドタウンとして注目のエリアです。JR山科駅周辺はたくさんの商業施設もあり、市営地下鉄東西線沿線の交通の利便性もよいことからファミリー世帯、単身世帯向け共に物件が多くなっています。また、山科駅から南の醍醐エリアも物件数が増加傾向にあり、ファミリー世帯に人気のエリアとなっています。

終わりに

前回に引き続き、2019年5月の京都市各区の間取りごとのヒストグラムや、賃料と専有面積の散布図を紹介しました。
今回取得するサンプル数を前回の1万7千件から2万2千件に増やしてみましたが、平均値やばらつきの傾向としては前回から大きな差はありませんでした。これは母集団のサンプル数がすでに十分な数であることを表しています。

<今後の予定>
このサイトでは月に1回のペースで京都市の賃貸物件の賃料を定点観測しています。この半年ほど観測した所では、前月との差分が大きな月はありませんでしたが、年次の長いスパンで見ると上昇トレンドにあるのか下降トレンドにあるのか、もう少し分かりやすくなると思います。月次データも蓄積されてきたので、時系列トレンドについても別の機会に紹介したいと思います。