京都市のホテル稼働率と観光客の推移(2025年8月)

京都市観光データで読み解く!宿泊市場のダイナミックな変化と今後の展望

コロナ禍を経て、日本の観光市場は大きな変革期を迎えています。特に、歴史と文化が息づく街・京都では、その変化が顕著に表れています。本記事では、京都市観光協会の最新データを基に、宿泊市場のリアルな動向をグラフィックで可視化し、その背景にあるトレンドを深掘りします。

京都市の客室稼働率の推移 (全体像)

延べ宿泊者数の推移 (2021年8月以降)

データから読み解く京都市の観光トレンド

1. 力強い回復を遂げたインバウンド市場

グラフを見ると、2022年後半からの水際対策緩和を機に、外国人延べ宿泊者数が爆発的に増加していることが一目瞭然です。2023年以降は多くの月で外国人宿泊者数が日本人を上回り、インバウンドが市場回復の強力なエンジンとなっていることが分かります。

京都市観光協会の2025年2月の月報によると、外国人延べ宿泊数は前年同月比で18.2%増となり、国・地域別では3か月連続で中国が1位となっています。 また、2024年8月のデータでは、総延べ宿泊者数に占める外国人比率が61.2%に達し、これは2014年の統計開始以降で4月の70.1%に次ぐ高い比率であり、市場構造の変化を象徴しています。

ポイント: 円安を追い風に、欧米豪やアジア各国からの観光客が急増。特に個人旅行客の回復が市場を牽引しています。

2. 京都市の変化する宿泊者構成と単価戦略

一方で、日本人延べ宿泊数は、物価高や自然災害(台風など)の影響を受け、一部期間で伸び悩む傾向が見られます。2024年8月の月報では、お盆期間の台風10号の影響で宿泊キャンセルが発生し、日本人延べ宿泊数が前年比で減少したと報告されています。

このような状況下で、多くのホテルは収益性を重視する戦略へとシフトしています。客室稼働率はコロナ禍前の水準に完全には戻っていなくても、平均客室単価(ADR)を大幅に引き上げることで、1室あたりの売上を示す客室収益指数(RevPAR)はコロナ禍前を上回る月が多くなっています。例えば、2024年2月の平均客室単価は16,541円で、2019年同月比で31.0%増となりました。

ポイント: 人手不足も背景に、「稼働率」よりも「収益性」を重視する経営方針へ。高付加価値な体験を提供する施設が支持を集める傾向にあります。

3. 今後の見通しと注目ポイント

今後の見通しとして、観光需要は引き続き堅調に推移すると予測されています。2025年8月時点の予測では、秋の行楽シーズンである10月には需要のピークを迎え、特に中秋節や国慶節と重なる期間は高稼働が見込まれています。

また、2025年4月13日から開催されている「大阪・関西万博」も、国内外からの来訪者を増やす大きな要因となるでしょう。 また、桜や紅葉の見頃時期といった自然要因も合わせて観光動向に大きく影響を与えるため、観光市場は引き続きダイナミックに変動していくと考えられます。

ポイント: 国際的なイベントや季節性が今後の需要を左右する鍵。持続可能な観光と旅行者の満足度向上の両立が、今後の京都の観光市場における重要なテーマとなります。また、これと併せて市内の観光交通渋滞やバスや地下鉄のマナーの徹底なども市民生活と両立していくための重要な要素となります。